「見つからなくてわざわざ買い直した」サラダ記念日を読んでいるけど、やっぱり同じ短歌が好きだな。
捨てるかもしれぬ写真を何枚も真面目に撮っている九十九里。
「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ。
俺がいいと思うのは少なからず金子みすゞの感性に近い。
捨てるかもしれない写真を真面目に撮っているというセンスがなんとも言えずいいですね。
今はスマホで何枚でも簡単に撮れて、簡単に消せる訳ですが。
昔はカメラで撮るというのは特別なことだった。
そういう特別なことなのに捨てるかもしれないと思っているセンス。
スマホみたいな便利なものができるたびに俺たちのセンスが消えていく。
寒いね~は有名な短歌なのでご存じの方もいらっしゃるかも知れません。
もう言うことないですね。
これが短歌ですよ。
こんなに短い文字数の中に大事なものが詰め込まれている。
捨てるかも~も寒いね~も何気なくしているから気がつかない訳ですよ。
写真を撮っている時に捨てる時のことなんて考えない。
「寒いね」といえば「寒いね」と答えてくれるのはふつうのこと。
気づきなんだよね。
そういえばこれって、こう考えることもできる。
新しい気づきが表現作品になる。
俺も短歌をたまに書きますけど、おもしろいですよ。
世界の中で一番短い小説。
俳句の方が短いけど小説じゃないから。
季語も入れないといけないし。
短歌は文字数以外にルールはないから。
何を書いてもいい。
俺は俳句より自由な短歌の方が好きだな。