冬の海と心の雪

俵万智の話。

かぜのてのひら。

それぞれに帰る場所持つ肉体をぬけがらとして立つ冬の海。

なんでこの人ってこんなに孤独なんだろう。

帰る場所がない?

どうして、ぬけがら?

そして冬の海。

どうしてこんなに切なくて淋しいの。

俺は俵万智が絶好調の恋愛の短歌ばかりを詠んでいたらべつに好きではなかったと思う。

冬の海で帰る場所もなくぬけがらのように立ち尽くす。

それがなぜかは解らない。

恋愛が上手くいっていないから?

別れて一人だから?

こんなにたくさん恋愛をしてみたいわ。

恋愛が心の半分を占めているんだろうな。

男を切らしたことのない女は違いますわ。

でも孤独。

なんでだろう。

みんなひとりぼっちだもんね。

好きな男に抱かれていても、みんなひとりぼっちなことに変わりはない。

だから立ち尽くす。

冬の海の前で立ち尽くす。

どこにもいけなくて。

泣きたくて。

雪が心に降り積もる。

ぬけがらの私は冬の海に置いていく。

人生は続くから。

泣いてばかりもいられない。

冬の海にさようならをして。

歩き出す。

春の足音を聞きながら。

誰も知らない透明な未来へと向かって。