超人伝説

何かを良いという人がいる。何かを悪いという人がいる。

その時点でもう、唯一の正しさというものは存在しないのです。

主観と主観が綱引きをしているだけであって、仮にどちらかが勝ったとしても、単なる数の論理でしかないし、正しさの証明にはならない。

あんまり大きな声で「正しいのは俺だ」と言うのはよしなさい。みっともない。

どれだけ正義の旗を振ったところで、その正しさは主観の域を出ない。

けれども人は、何かを強く信じなければ生きていけない。

宗教も科学もUFOも、信じたもん勝ちだからな。

どれだけ悲惨な目に遭ったって、何も信じずには生きられないよ。

例えそれが何であれ、他人から何を言われようとも、信念が支える杖になる。

たった一つの拠り所を求めて、さまよい続けるのが人なのだ。

そのたった一つを手にした時、人間に正常な判断が下せるとは思えない。

皮肉なものだ。強く信じられるものを求めているのに、いざ手にしてしまえばそれを盲信する人となり、やがて狂人になる。

信じるものを必要とする大多数の人間は、弱い人間なのだ。

か弱き人の子よ、強くなれ。

何も信じず、杖となるものを必要としない人、それを超人と呼ぶ。