命ちいさくのびをするなり

俵万智の話。

プーさんの鼻。

昨日咲いた花とおんなじだけ生きて命ちいさくのびをするなり。

俵万智の短歌で一番うつくしい短歌ではないでしょうか。

もう恋する女俵万智には戻れないでしょう。

子供を放り出して恋する女もいるけど。

でも不思議なもんで、年を取ると子供のことを考えるようになるんですよね。

彼女より先に子供がくる。

子供がほしいから結婚したいになる。

まぁ、実際には結婚はしないしできない訳ですが。

命ちいさくのびをするなり。

俺は男なので妊娠・出産することは不可能なのでイメージですが。

お腹の中にいた子供を出産して、自分と子供が切り離される。

分離された命がそこにある。

その命がちいさくのびをする。

生きている。

泣きますよね。

今まで感動してきたお涙ちょうだいのフィクションなんてぜんぶ吹っ飛ぶくらい。

泣く。

命が生まれる。

一人が二人になる。

生命の神秘。

不倫までしていた万智ちゃんも少しは不倫を悔やんだか?

命が生まれるってこういうことやで。

君らがしていた行為ってこのためにあるんやで。

今日のダーリンでよく糸井は孫のことを娘の娘って表現で出すけど、よっぽど可愛いんだろうね。

俵万智も言葉にうるさい母が「おばあちゃんでちゅよ」と言っていると短歌にしているけど。

孫は子供以上に可愛いらしいね。

子供どころか結婚どころか彼女もいないのに、孫とは……。

人生をフルコースで深く味わうための、幾つものスパイスが誰もに用意されていて、時には苦かったり渋く思うこともあるだろう。そして最後のデザートを笑って食べる君の傍に僕は居たい。という歌詞がありますけど。

孫って人生のデザートなんだろうなって思う。

自分の人生を生きてきた。

働いてきた。

結婚して子育てもした。

もう俺の人生そろそろいいんじゃないかなって時に孫ができる。

そりゃ、うれしいでしょ。

今までの人生の苦労がすべて報われた気になるでしょう。

俺の人生は決して無駄ではなかった。

妻に選んだ人はこの女性でよかった。

すべての苦労はこの時のためにあったのだ。

うれしい。

愛しい。

子供のうつくしい瞳を見つめると心が許されたような気持ちになる。

子供は大人を見て学ぶのに。

大人は子供を見て学ばなくちゃいけない。

人とはこんなにも澄んだ瞳をして生きるものなのだと。

うつくしい湖のようにすべてを許すのだと。