わたしを解ってくれるのですか

結局、思い出づくりがしたいだけなんだよな。

ディズニーランドでたのしむことが目的じゃなくて。

ディズニーランドに行ったという事実が大事。

そういやあの時のディズニーランドではあんなことがあったよねという思い出づくりが大事。

それによって会話の引き出しが増える。

あの時のあれは……引き出しにたくさん思い出を入れていきたい。

これは結婚相手限定ですね。

彼女とは遠出しない。

朝に集合して朝マックでも食べる。昼は少しいい外食をして、家で動画を見ながらコーヒーを飲む、夕食を一緒につくる、軽く酒を飲んでほろ酔いで会話をする、寝る。

それでよくない?

なんでダメなの。

もういいよ遊びに行くとか。

結婚しないのなら。

全部友だちと行ってくれと言う。

おたがい友だちのいない残念なカップルだったら少しはがんばる。

悪いけど、ディズニーランドは無理だよ。

ラフテルには到達できない。

この子とは結婚するだろうと思ったら、がんばる。

子供はつくらないから。

ずっと二人で生きていく。

二人三脚で生きていく。

そうなったら、たくさん思い出をつくりたい。

あとで語り草になるから。

コーヒーを飲んでいる時に、そういえばあの時……。

そういう思い出をたくさんつくりたい。

結局、俺は結婚したいんだと思う。

一人で生きていくのは、つまらない。

たくさん会話をしたい。

会話をするにはネタがいる。

だからいろんなところで遊んで、いろんなものを食べたい。

だったら彼女にも同じことをしてやれよって話なんだけど。

何をするにも、外ではがんばらないといけないからさ。

俺の病気の理解度も解らない。

結婚相手には全部を知ってほしいけど。

そもそも俺のことを深く知る気がないのなら彼女になってくれなくていい。

俺の病気と過去と孤独を理解したくないのなら。

何気ない話の中に本当のことがあって。

深刻な話の中に誤魔化しがあって。

それでも理解する覚悟があるんですか。

千里の道を一歩一歩と歩くように。

わたしを解ってくれるのですか。